父逝きて弾く者もなきマンドリン抱(いだ)けばまろく膝に収まる
--- これよりマンドリンを始める ---
ペットボトルの喇叭飲みにも慣れ若きらとマンドリン合奏に汗を流すも
マンドリンの新入部員のわれに来し若者の賀状に仲間とありぬ
--- とみ象よりの賀状 ---
生涯にこの日のあると思わざりオーケストラのステージに立つ
演奏を終えて仲間と乾杯す大ジョッキ高くわれも掲げて
--- 飲めないながら ---
若きらと汗して終えたる演奏会午前一時に二次会に向かう
弾けざるを励まされつつ演奏旅行高松めざしバス動きたり
--- E塚さんより誘われたものの最後まで迷っていた ---
連絡はパソコンという仲間うちわれのみに来る電話連絡
--- N島さんに迷惑かけて ---
「Eメールのアドレス取得おめでとう」若き仲間より第一信受く
--- 第一信はN島さんより ---
あやふやな技に送れる返信に五通も入りしと笑われており
--- 笑われてはいないけど届いたか確かめたら五通あったとA石さん ---
若きらに遅れつつ弾く「軽騎兵序曲」われのテンポに馬走れまじ
ティファニーに演奏の合間若きらはレタスバリバリランチを食べて
アンコール弾き終えて深く呼吸をす背にツリーライトの煌めき受けて
--- プラバクリコン ---
マンドリン担ぎてのぼる丘の上小さきワイナリー瀟洒にありて
演奏の前のワインは自粛のはず掟破りの赤き顔あり
木もれ日のステージに飛び来る小さき虫付点のごとく楽譜に止まる
試飲せるワインの後の演奏にほろ酔いかげん音符うろうろ
「夏ばてなんてわたしの辞書にはありません」
嘘うそうそともう一人のわたし
いきなりの若き仲間の着メロは今夜お鍋に来ませんかとぞ
不揃いの食器で囲む石狩鍋わたしの前には大どんぶりが
木の下のステージに突然風の来て楽譜一枚谷間に消ゆる
スペアリブを芝生でしゃぶるワイン祭りまあ猫みたいと母の声する
--- 以上二首2回目のワイン祭り ---
ステージにアンコールの拍手聞きておりわれに熱かりしこの夏終わる
弾けざるを体ゆすりて演技せるわれにも花束届きていたり
両の手をコーヒーカップで温めるニューイヤーコンサート開演十分前
--- 乃木公民館にて ---
マンドリン・ギターのライブ「大地と風」裸足で駈ける少女が浮ぶ
大雪の「暖談フェスタ」竪町に汁粉ふうふう見知らぬ人と
降りしきるだんべら傘に通り行く松江寺町人っこいない
--- 以上3首シャイニーライブ ---
パソコンに譜面も音も届く今なお捨てがたき手書きの楽譜
手書きなるオーケストラの古き楽譜休止パートに眠るなとあり
居酒屋は「三島定之助」若きらとチゲ鍋囲みこの年送る
堀川の遊覧船など知らずしてハーンはいつも横向きており
マンドリン足に挟みて立てながら弦張り換う夏 首タオルして
気温三十六度楽器とともに持ち歩く多目の麦茶肩に食い込む
奏でつつ訳の解らぬ涙出(い)づ「赤いスイートピー」春の日のロビー
--- 震災のあと県立美術館で ---
駈けまわる芝生の幼(おさな)を追いながら遠い遠い青草の記憶
萌ちゃんがチェロに顔伏せ笑いをかくす肩はくすくす動いているよ
グラントワの回廊黒く光りおり靴音響く「神々のすがた展」
アンティックと若き仲間に囲まれるわれの携帯にアンテナありて
西の日を背(そびら)に湖岸(うみきし)ひた帰る主婦なるわれを待つ人がいて
--- 平田の合宿の帰り ---
飲めぬくせ出席しますとメール打つ若き仲間の中にいたくて
--- と言ったものの止むなくキャンセル ---
短歌を長年学んでおられるShintaniさんから、クインティナに関係した短歌を公開していただきました。
こんな素敵なラブソングを贈られるクインティナは幸せだとおもいます。
画像はトミゾウさんのブログやあやまるさん制作CDから拝借させていただいてます。
街の巨匠たちに感謝♪